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POMにしようかな? MCナイロンにしようかな?

2021年7月7日 水曜日

お客様によっては、あまり材料の種類にこだわりのない方がいらっしゃいます。
こだわりなく【知ってる材料】を使用される場合が多いと思います。

 

 

でも・・・ その材料選定、本当にテキトーでいいのでしょうか?

 

ご存知のとおり、プラスチック材料の種類はかなり豊富で
用途や予算で様々なチョイスが可能です。

 

「うちの工場で使ってる機械の部品、白っぽいからPOMでいいや」

 

「MCナイロンってPOMより特性が優れてるらしいから、MCナイロンにしよう」

 

 

もちろん現状使用されていて、問題が無ければそれで良いのですが
樹脂部品の多くは劣化や消耗するものですから、
できるだけ特性を生かして長く使いたいですよね。

 

弊社でもよく扱う材質の中にPOM(ジュラコン)とMCナイロンがあります。
どちらも自己潤滑性、剛性や靭性といった機械的特性に優れた素材ですが、
用途によって、使い分けた方が良い場合がございます。

以下、それぞれの特性についてご紹介いたします。

 

■POM(ポリアセタール/ジュラコン)

高い強度や耐摩耗性が要求される製品に使用されます。
連続使用温度95度の熱に耐え、弱酸に対して耐性があります。
比較的安価な材質で、食品衛生法に適合しています。

代表的なもの:
歯車(ギア)や、ベアリング、プーリーといった回転運動で稼働されるパーツ
ブラシの柄や、ドアハンドル、フック、ファスナー等強度が必要な日用品
リコーダーや木管・金管楽器パーツ
医療現場などでこまめに消毒されるパーツ

短所:
難燃性が低く、火を取り扱う場所では注意が必要。
耐候性が低いため、紫外線や光により変色・劣化する。
接着性が低いため、メッキや塗装による表面処理に不向き。

 

■MCナイロン

特有の粘りがあり、機械的強度や耐摩耗性は優れるため、寿命が長い。
一般6ナイロンに比べ様々な分野で平均以上の物性値を誇ります。
連続使用温度120度の熱に耐え、有機溶剤に強い。
ナイロンのため吸水性があり、接着が行えます。大きな材料サイズもあります。
食品衛生法に適合しています。
耐候グレードや、導電グレードなど用途に合わせて選択可能。

代表的なもの:
歯車(ギア)や、ローラーなど回転運動で稼働させるパーツ
野外でも使用される台車の車輪やキャスター、ガイドレール(耐候グレード)
電子部品に使用されるパレット、治具、ガイド(帯電防止グレード)

短所:
吸水性があるため、寸法精度が低い。
酸に弱い。

…以上の点から、
使用用途や環境、求める特性によって使い分けをされた方が
良いことが分かります。

 

似たような特性なので、
同じような使い方をされても問題がない場合が多いですが
一度、検討してみてはいかがでしょうか?

 

安価にギアを作りたい
→POM

摩耗する速度を落としたい
→MCナイロン

紫外線や光による劣化を防ぎたい
→MCナイロン

寸法精度が必要なギア、ガイドなど
→POM

水を扱う環境で使用する
→POM

衝撃が多く加わるパーツ
→MCナイロン

医療現場で消毒するパーツ
→POM

顕微鏡など精密な寸法が必要なパーツ
→POM

大きなサイズの摺動パーツ
→MCナイロン

難燃材のパーツがほしい
→MCナイロン

コピー機の紙送りなど 自己潤滑性が高いパーツ
→POM

 

※形状や使用用途によって異なる場合もありますが
 参考にしていただければ幸いです。

 

MCナイロンやPOM以外にも、機械に使用される材質はたくさんございます。
他の樹脂の特性については、また別の機会にご紹介いたしますね。

 

株式会社アリスでは、
材料のご提案も含め、お見積りをさせていただいております。
エンジニア様、お客様の良きパートナーとして
役立てるよう努めてまいります。

 

お引き合い・ご相談お待ちしております!